履歴書にウソを書くと
履歴書作成にあたり、学歴であろうが職歴であろうが事実に反する事を書けばこれは詐称ということになる。従って、話は簡単なことで、履歴書に嘘を書いてはいけませんといことで終わりになる訳だが、ここで問題にしたいのは詐称の生まれる心理的要因や背景という事である。
なぜ履歴書に事実に反する詐称をするのかという事だが、学歴においては低学歴のひとが高学歴を装うというのが通常パターンで、これは政治家までがおのれの学歴のなさを恥じて高学歴を詐称したりする。ばれてしまった時のことをちょっと考えればかえって大恥をかくことぐらい判りそうなものなのに、当人はばれないと思うのかもしれない。政治家となれば通常の職業よりも注目率が高いだけに履歴書の詐称も尚一層ばれ易くもあるし、また、足を引っぱってやろうというライバルも少なくないので余計に危険が伴うことぐらい考えろと言いたくもなるが、どういうわけか履歴書詐称は後を絶たない。
低学歴や余り世間で評価の高くない学校を卒業していたりする人が「嵩上げ」を謀ろうという気持ちは判らなくはないが、世の中その逆の詐称もまた存在するのだ。大学院の博士課程まで出た人がオーバードクターの世の中になったためにアカデミズムの就職がままならない、という状況がある。そのようなドクターまで持った人が勤めるような会社ではない、そんな仕事ではない、といった時でも、よほど金持ちの御曹司でない限り、遊んでいる訳にはいかない。
当然履歴書を書いて就職活動となるが、さてアカデミズム以外の仕事でも一時的に止むを得まいと思っても、先方ではそんな高学歴者にうちの仕事は適しないし、勤まりもしないだろうと端から相手にしなかったりする。そこで当人もわざわざドクターであることを隠し、つまり大学院の博士課程どころか大学院や大学の存在すらも履歴書から抹殺して、つまり詐称して面接にのぞむのである。
ドクター氏が高卒の履歴書で臨むことになるのである。先日もヨーロッパでドクターである人物がレストランの皿洗いをするという話があったが、当人は博士課程出であることを隠していなかった。しかし、これでは周囲の同僚達から浮き上がって仕事がやりにくいと思うのだがどうだろうか。そう思う人種が高学歴を履歴書から消去するのであるが、世の中は時代の状況により不思議な履歴書詐称現象を生み出すものだと感心させられる。